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NBCもSVODサービスをスタート (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.137)
2015年10月25日号

 Netflixの視聴者は第3四半期で4300万人を超えた。1加入者、イコール、1世帯とすると36%の世帯がNetflixに加入している事になる。eMarketer社は、Netflix視聴者数は1.14億人で、ブロードバンド利用者の63.2%がNetflixを使っていると報告している。

 当然、Netflix、あるいは他のOTTベースのSVODサービスの視聴者が増える事で、既存の放送視聴は減る。テレビネットワークはこれに対し、広告ベースのキャッチアップ配信、それに多チャンネルサービスへの加入を必要とするTV Everywhere(TVE)での配信を始めた。しかし、どちらも成功をしているとは言えない。広告収入は少なく、ABC、Fox、NBCが始めたHuluは有料(SVOD)化した。TV Everywhereの利用者も多チャンネルサービス加入者の13%程度で停滞している。

 広告ベースでの配信、それにTVEだけではNetflixに対抗する事は出来ないと考え、自らもOTTでのSVODサービスを始めるテレビネットワークが出ている。OTTでの配信は、既存の配信事業者(地上波局と多チャンネルサービス)を無視し、SVODは広告主との関係を悪くする。しかし、背に腹は代えられない。

 地上波ネットワークのCBSはオンデマンドだけでなく、ライブ配信を含むCBS All Accessを月額$6で行っている。有料チャンネルのHBO、ShowtimeもSVODを始めている。

 新たにNBCもSeesoと呼ばれる月額$4のSVODサービスを発表した。SeesoはCBS All Accessとは違い、ネットワークの全番組を提供するのでは無く、コメディー分野の番組に特化している。NBCで放送されたコメディー番組に加え、イギリスのMonty Python等の独占契約のコンテンツ、それにSeesoオリジナル制作の番組を提供する。10%~15%のコンテンツは無料で見る事が出来るが、主要なコンテンツを見る為には有料になる。

 NBCはSeesoの発表で、「コメディー専門のNetflix」と言ったことでも、いかにNetflixを意識しているかが分かる。これまでのビジネスモデルを崩すこと無く、Netflixと競争する為に考えた策である。しかし、これで十分であろうか。全ジャンルをカバーしているNetflixに比べると価格は40%である。NBC以外のコメディー番組もあり、本当の「コメディー専門のNetflix」であれば、Netflixの40%の価格は悪くないが、現在のSeesoには$4を払い続ける魅力は無い。

 やる気になれば、Comcast NBCUniversalは真っ向からNetflixに対応するサービスを提供する事が出来る。しかし、それはこれまでのビジネスを破壊する事になる。XeroxはAppleのマックを始め、多くのイノベーティブな製品の基になった技術を開発しても、紙ベースの文化でのビジネスを捨てる事が出来なく失敗した。テレビネットワークも、過去を捨てることが出来なく、消えていくのであろうか。


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