世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

会員登録

マイページ


DRI テレコムウォッチャー  from USA


このシリーズは、毎月1回掲載!!

      NSI Research社の デジタル放送とブロードバンドTVの情報サービス      
  年間情報サービス「The Compass」 と 「The Compass」年鑑レポート
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダを対象としています。


TVの将来はアプリか ? (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.136)
2015年9月25日号

 第4世代のApple TV発表の場でCEOのTim Cook氏は「TVの将来はアプリである」と述べた。Jobs氏の「Apple TVは趣味」程ではないが、この発言も話題になっている。すでにスマートTVではアプリが走る事は可能である。Rokuでもカジュアルなゲームが出来、Fire TVではより高度なゲームが走り、TV上のアプリは特に新しい事ではない。また、インターネットベースの双方向性のTVは1995年のMicrosoft MSN TV(WebTV)から始まり、最近ではGoogle TVがあるが、どれも成功はせず、ビデオ、ゲーム以外でTVを使う事に対する疑問もある。

 しかし、Cooks氏の発言の意図が「TVの将来は(チャンネルでは無く)アプリである」であれば、これを否定する人は無いであろう。すでにNetflix等でのオンデマンド視聴が主流となり、視聴は「チャンネル」から「アプリ」に移行をしている。ビデオコンテンツはテレビチャンネル帯域に限定されたものから、様々なプラットフォーム上のアプリで視聴する物になっている。

 これには多チャンネルサービス事業者も賛成する。FCCが求めている多チャンネルサービスの共通プラットフォームのコンセプトとして、事業者はアプリを売り込んでいる。将来のテレビ(あるいはSTB)はアプリを走らせる機能があり、いかなる方法(QAM、衛星、IP、etc.)で配信されたビデオでもゲートウェイで共通規格に変換し、テレビ(STB)はそれにアプリで対応する事で共通プラットフォームが出来る。

 視聴が「チャンネル」から「アプリ」に移行した環境でも重要になるのは「UI」と「ブランド」である。多チャンネルサービス事業者はコンテンツ事業者に対して、チャンネル帯域を売り込むのではなく、ビデオコンテンツを同じUI環境で見せるアプリを提供するプラットフォームを売り込む事になる。

 コンテンツはキングだと言われるが、コンテンツ事業者はこれまで、チャンネル帯域を提供する事業者に配信を頼る必要があった。だが、OTTにより、コンテンツ事業者が自ら配信する事も可能になっている。多チャンネルサービスに頼る事無く、自社のブランドでコンテンツを配信する事が出来る。しかし、コンテンツ事業者がそれぞれ個別のアプリで配信をした場合、UIはすべて異なる物となり、検索も不可能な支離滅裂な環境になってしまう。それでは、サービスは成り立たない。

 Appleの提案するtvOSの環境であれば、ネットワークは自社アプリ(ブランド)で配信を出来るが、アプリは基本的に共通したUIで統合され、全コンテンツを統合した検索が出来る。コンテンツ事業者に取り、チャンネル帯域を提供する多チャンネルサービス事業者は不要になっていくが、代わりにアプリが走るプラットフォームを提供する事業者が必要になる。選ばれるのはComcastの様な既存の多チャンネルサービス事業者かもしれず、あるいはAppleの様なインターネット・サービス系の事業者が成功する可能性もあるが、TVの将来はアプリである事は変わらない。


「from USA」 のバックナンバーはこちらです



DRIレポートリスト

最新市場調査
レポートリスト

DRIメルマガは無料にてご登録いただけます。

 

ページTOPに戻る