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Sesame Streetが公共チャンネルから有料チャンネルに移る (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.135)
2015年8月20日号

 Sesame Streetはアメリカの公共放送のPBS(Public Broadcasting Service)を代表する番組の1つで、1969年から放送が続いている。しかし、2015年後期からSesame Streetの新作は有料チャンネルのHBOが独占で放送する事になる。PBSでも引き続き放送されるが、HBOで放送されてから9ヶ月後の再放送になる。

 Sesame StreetはPBSの顔番組であるが、PBS制作ではなく、PBSからの収入はその売上の10%でしかない。制作費はキャラクターのマーチャンダイジング等に頼っているが、ここ数年、Sesame Streetの収入は減っていた。2014年の収入は$1.04億で前年より14%も減り、$1100万ドルの赤字を出した。民間チャンネルで放送し、広告を売れば収入は増えるであろうが、それでは教育番組では無くなる。

 HBOは民間ネットワークであるが、有料放送であり、広告は売っていない。また、Sesame Streetの制作方針に口を挟まない事を約束している。この5年契約により、Sesame Streetの経営は安定し、年間の制作本数もこれまでの19本から35本に増える。また、HBOでの放送から9ヶ月後になるが、これまで通りに公共チャンネルでも放送されるので、無料で見る事も出来る。

 HBOと言うと話題性が多いオリジナル番組で知られているが、Sesame Streetに投資する価値はあるのか? 数年前であれば、答えはノーであったかも知れないが、状況は大きく変わっている。子供向けコンテンツはNetflix等のSVODに加入する大きな理由になっている。DVDを購入するより安く、また、広告が無いことは親に安心感を与える。AmazonはNetflixとの競合性を高めるために、2013年にNickelodeon等のViacomの子供番組の独占配信権をNetflixから奪い取っている。Viacomは最近、Nogginと呼ばれる月額$6の子供専用のSVODサービスを開始している。

 HBOがSesame Streetの新作を独占する事には大きな価値はある。子供を持つ親に対して、HBOに月額$15で加入する理由を増やすことになる。HBOが得たのは新作の9ヶ月間の独占だけではなく、ライブラリーの独占配信権も得ている。これにより、Sesame StreetはNetflix、AmazonのSVODからは消え、HBOの独占になる。HBOはOTTサービスのHBO Nowを開始し、Netflixと正面から競争し始めている。HBO Nowには他のテレビネットワークの番組は無いが、オリジナル番組ではNetflixに劣らない。映画本数はNetflixより少ないが、過去2年のヒット番組ではHBO Nowが優っている。HBOは子供向けコンテンツでは弱かったが、Sesame Streetの独占契約で大きな前進をした。


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