| Netflixへの大きな挑戦者 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.129) |
2015年2月20日号
Netflixはすでに欧州主要国に参入している。秋には日本に上陸し、アジアに展開する予定である。アメリカ国内の加入者は2014年末で3,911万人(有料3,770万人)に達している。アメリカ最大手の多チャネルサービス事業者のComcastは、2014年第3四半期で2,238万世帯である。Comcastが買収しようとしているTime Warnerの1,100万世帯を加えてもNetflixには追いつけない程に成長している。しかし、Netflixへの大きな挑戦者が登場しようとしている。
それは有料チャンネルのHBOである。HBOはアメリカ最大の有料チャンネルで、アメリカでは約3,000万の加入者を持っている。Netflixの加入者数は、2013年第3四半期にHBOを追い抜いている。しかし、世界規模ではHBOの加入者数は1.1億人で、Netflix(5,447万人)の倍近い。
HBOの加入には多チャネルサービスへの加入が必要であり、多チャネルサービスへの加入者が増えていないので、このままでは加入者が増える可能性は低いが、HBOは今年中にOTTでのサービスを開始し、Netflixに真っ向から戦いを挑む。HBOの月額は現在$18から$20程度で、Netflixの倍以上である。OTTでのサービスは月額$15程度での提供になると予測されている。Netflixの$9より高価だが、それほど大きな違いではなく、コンテンツでの勝負になる。
HBOの親会社はTime Warnerであり、コンテンツ制作では引けをとらない。HBOは1990年代末からSex and the City、The Sopranos等のヒット番組を制作し、現在はGame of Thrones、True Detectives等のヒット番組を制作している。また、Warner Brothersは2014年には32本の映画を制作しており、HBOがWarner Brothersの映画だけでも早くストリーミング出来れば大きな武器になる。
Parks Associates社が最近に行った調査では、ブロードバンド世帯(9100万世帯)の17%はHBOのOTTサービスが$15であれば加入すると答えている。これには多チャネルサービスですでにHBOに加入している世帯も含まれているので、1,500万世帯の新規加入者が出る訳ではないが、まだ正式に発表されていないサービスとしては、非常に大きな関心度である。知名度が高く、コンテンツ制作力でも強力なHBOは、Netflixの大きな競合になる。
HBOとNetflixの戦いは、コンテンツ調達とオリジナル番組の制作になる。Netflixは、今年は20本のオリジナル番組の制作を行うと発表している。これに対して、HBOは2014年に3本のドラマ、7本のコメディーを制作した。HBOがOTTで配信を開始すると、当然ながらNetflixとHBOのオリジナル番組が比較される事が増える。Netflixとしては、HBOより低い評価を得ることは出来なく、制作予算を増やす必要が出る。これに、アジアへの進出を加えると、Netflixの収益は厳しくなる。アナリスト会社のMoffetNathansonは最近、2015年のNetflixの一株当たり当期純利益の予想額を$5.30から$2.40に引き下げた。
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