| 大きくなるNetflixの勢力 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.128) |
2015年1月20日号
2014年末のアメリカにおけるNetflixへの加入者数は3,911万人(無料試用期間利用者含む)であった。1世帯、1加入者とすると、アメリカのテレビ世帯(1.16億)の33.6%がNetflixに加入している事になる。調査会社のLeichtman Research Group(LRG)の調査では、多チャネルサービス加入世帯(全体の約85%)の36%はNetflixを利用している。多チャネルサービスに加入していない世帯におけるNetflixの利用率は48%になっている。
Netflixは多チャネルサービスにおける最大の有料チャンネルのHBO(加入世帯約3,000万)を抜いている。アメリカ最大の多チャネルサービス事業者のComcastの加入世帯数は第3四半期で2,238万世帯であったので、その1.75倍の加入者を持っている。ComcastはTime Warner Cable(TWC)の買収を計画しているが、TWCの加入者数は1,000万世帯なので、買収が許可されてもNetflixに追いつく事は出来ない。多チャネルサービス事業者の2位のDirecTVの加入者は2,020万世帯なので、1位と2位の合計ではNetflixを上回っているが、Netflixが現在のペースで成長すれば2015年中にはこれも追い抜く事になる。
インターネットを使ったSVOD(サブスクリプション型VOD)におけるNetflixの競合はAmazonのPrime Instant VideoとHulu Plusである。Hulu Plusの加入者は2015年4月時点で600万世帯で、Netflixとは大きな差がある。Prime Instant VideoはAmazonのプライム会員(年間$99)の特典の1つである。プライム会員数は発表されていないが、3,000万から4,000万世帯と推定されている。その内、全部がPrime Instant Videoを使っている訳では無い。Prime Instant Videoの定期的利用者は2,500万程度との予想である。
テレビメーカーに取ってもNetflixは非常に大きなファクターになっている。Netflix利用者の内、毎日Netflixを使っている人は36%(LRG社調査)であり、Netflixの発表では利用者の視聴時間は1日平均90分になっている。テレビの平均視聴時間である4.5時間の3分の1に達している事になる。テレビ購入時にNetflixが見られるかは、大きな要因になっている。
4KテレビではNetflixの影響力はさらに強い。Comcast、DirecTV、Amazon等も4KでのVODを始めているが、4Kで提供されているビデオの数はNetflixが一番である。4Kテレビを売るにはNetflixへの対応が不可欠である。4K対応のストリーミング・プレーヤ(Apple TV、Roku等)はまだ無いので、Netflixに対応していない4Kテレビでは、4Kのビデオは見られないのと同じである。
Netflixは毎月、主要ブロードバンド事業者が提供しているNetflixのトラフィック速度をリストアップし、Netflixを見る為にはどのブロードバンド事業者が良いかを分かるようにしているが、テレビ受像機に対しても、「Netflix Recommended TV」の認証マークの提供を開始する。Netflixは基準を満たしたスマートTVを「Netflix Recommended TV」と認証し、メーカーはそのマークを付ける事が出来るプログラムを開始する。基準の詳細は発表されていないが、アプリの開始速度、一時停止後に再生までの速度等が含まれ、Netflixは基準をこの春に発表の予定である。
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