| 急速に成長しているiSTB (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.127) |
2014年12月20日号
インターネットビデオ向けのSTB(iSTB)はニッチな市場であった。YouTube 等のインターネットビデオのサービスが普及する事で潜在的な市場規模は増えてきたが、売上は期待を裏切ってきた。製品が存在しなった訳ではなく、Apple TV、Roku、WD TV(Western Digital)、そして、Sony、Logitech等のGoogle TV等多くの製品があった。
iSTBの売上が伸び悩んでいたのは製品に対する消費者の理解、それに価格である。最大の難関は、一般消費者にiSTBを購入する目的を理解させる事である。多チャンネルサービスの利用にはSTBが必要だが、STBは事業者が提供する物で、一般消費者はSTBを購入した事は無い。多チャンネルサービスの利用者は、サービスとして事業者を比較する事はあっても、提供されるSTBの事を考えはしない。iSTBは$100前後で売られてきた。特に、高価ではないが、製品に対する理解が低ければ、躊躇する値段である。
しかし、状況は急速に変わっている。アメリカでのiSTBの世帯普及率は2010年では2%程度であったのが、2014年には20%に達する。出荷台数は2012年からの2年間で倍増している。このクリスマス商戦では、多くのiSTBが売れると予想されている。
この変化を生み出してる要因の1つは、Netflix等のSVOD(有料ストリーミング)サービスの大きな成長である。世帯の42%はNetflix、あるいはAmazon Prime Instant Video、Hulu Plus等のSVODに加入している。18歳から34歳の層での加入率は61%に達している。SVODの利用者が増える事で、iSTBに対する理解度も増している。
もう1つの理由は、$50以下の製品、特に、GoogleのChromecastの登場である。iSTBの2大製品はApple TVとRokuであった。2013年では、この2つの製品が市場の72%を占めていた。どちらも$100である。これに対して、Chromecastは$35で発売になった。2013年7月に出荷開始になったChromecastは大成功をした。Rokuは以前から安価のモデルもあったが、2014年3月にはChromecastと同様なスティック型のRoku Streaming Stickを$50で発売している。
Amazonは4月にSTB型のFire TVを$100で発表した。Fire TVはデュアルコアのプロセッサーを使い、ゲーム機能を加え、Apple TV、Rokuのシェアを奪う事に成功した。ChromecastとFire TVの登場により、2014年(第3四半期時点)でのシェアは、2013年から大きくと変化をしている。Park Associates社によると、2013年では、Rokuが46%のシェアでトップ、2位はApple TVで26%のシェアであった。2014年Q3では、Rokuのトップシェアは続いているが、29%に落ちている。Apple TVのシェアも17%に落ちた。代わりにChromecastが20%のシェアを得て、2位に上がっている。
Fire TVは10%のシェアであったが、2014年末までにはシェアを大きく伸ばす可能性がある。Amazonは11月に$40でスティック型のFire TV Stickの出荷を開始した。Fire TV Stickは予想以上の反響で、生産が間に合わず、12月中旬時点での納品予定は1月6日になっている。
|