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バーチャルケーブルTVのその後とSony (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.124)
2014年9月20日号

 自社では回線を持たずに、オーバー・ザ・トップ(OTT)によりケーブルTVと同等のサービスを提供するバーチャル・ケーブルTVに関しては、2013年7月と12月に記事にした。Intelが積極的に動いていたが、昨年末にIntelはそのOnCueと呼ばれるサービスから撤退し、部門と技術はVerizonに売約した。これにより、バーチャル・ケーブルTVの進歩は遅くなったが、ストップした訳ではない。

 衛星事業者のDISH Networkは低価格のバーチャル・ケーブルTVサービスを年内に開始する予定で、すでにDisney、Tribune等のコンテンツ事業者と契約をしている。Nutvと呼ばれると噂されているDISHのバーチャル・ケーブルTVサービスは、DISH自体も提供している既存の多チャンネルサービスに競合するのではなく、これまでに多チャンネルサービスには加入したことのない新規加入者を狙っている。安い価格で、ブロードバンドがあれば、簡単に多チャンネルサービスを試す事を可能にするサービスを狙っている。

 DISHのサービスは、既存の多チャンネルサービスの様に世帯向けに提供するのでは無く、個人向けで、加入者が同時視聴可能なストリーム(チャンネル)は1つに限定されている。また、コンテンツ事業者との契約ではこのサービスへの加入者数も限定している。コンテンツ事業者はバーチャル・ケーブルTVは、既存の多チャンネルサービスから加入者を奪い、価格破壊が起きる事を心配しているが、サービス規模を限定する事でDISHは交渉に成功している。

 DISHの競合のDirecTVもバーチャル・ケーブルTVを計画している。DirecTVのサービスはスペイン語専門でヒスパニック向けのサービスとなる。DISHはすでに、ヒンディー語等の外国語専門のOTTサービスのDishWorldを提供しているが、これと同様に既存の多チャンネルサービスの加入者ではない層を狙うことで共食いを避けようとしている。

 Sonyもバーチャル・ケーブルTVを計画しており、最近Viacomとの契約をし、Nickelodeon、MTV等の22ネットワークの配信権を得ている。Viacomはバーチャル・ケーブルTVに理解があり、IntelもViacomとの契約は出来ていた。しかしコンテンツ事業者は、前記のように価格破壊が起きる事を心配し、Intelの交渉は難航した。

 とはいえ、Intelは既存の多チャンネルサービス事業者より高い契約金で交渉する事で、配信権は得られると語っていた。しかし、バーチャル・ケーブルTVサービスを既存のケーブルTVより高い値段で提供する事は出来ないので、シェアを得るまでは高い値段でコンテンツ事業者と契約し、加入者には既存のサービスより安く売る必要がある。Intelはその為の資金は準備していると語っていた。しかし、最終的にそこまでの投資をしてまでもホーム市場に参入する必要はないと判断し、撤退をした。Sonyはどうであろうか。新しい収入源として、数年間の赤字は覚悟でこの市場を狙い、Comcast、AT&T、Verizon等の競合になるのであろうか。  


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