| Netflixのオリジナル番組の視聴者数 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.123) |
2014年8月20日号
Netflixの事業は変化をしてきた。最初は郵便を使ったDVDもレンタル事業であったのが、サブスクリプションによるストリーミングサービスへと変身して行った。ストリーミングサービスを始めた最初は、映画がコンテンツの主体である事は変わらず、媒体がDVDからデジタル配信に変わっただけであった。しかし、映画の配信契約は高価である事から、コンテンツとしてより安く配信契約が得られるテレビドラマが増え、映画のレンタル事業より、HBO等の有料テレビネットワークに近い存在と変わっていった。
Netflixと有料テレビネットワークの大きな違いは、配信媒体である。有料ネットワークは、ケーブルTV等の多チャンネルサービス上で配信される。ネットワークを使う料金を払うが、帯域は保証されている。Netflixはインターネットを使っているので帯域保証は無い。しかし、NetflixはComcast、AT&T、Verizon、Time Warner Cable等のブロードバンド事業者と回線利用料を払う契約をしており、この違いも消えている。
Netflixはそのサービス内容も提供方法も殆ど有料ネットワークと同じになりつつあり、最大の競合はTime Warnerが持つ、HBOになっている。HBOと競合する場合、既存のテレビネットワークから得てくるテレビドラマが主体では、魅力は少ない。HBOと同じようにヒットするオリジナルシリーズの制作が不可欠であり、House of Card等のオリジナルドラマシリーズの制作に力を入れている。
テレビとは違い、Netflixの番組には視聴率が無く、同社からの発表もない。HBOでは、The Sopranosがヒット作としては有名だ。2002年シーズンの平均視聴者数は1820万人でトップであったが、今年はGame of Thronesが1870万人でこれを上回った。これに対して、Netflixのヒット作のHouse of Cards、Orange is New Blackの視聴はどの程度であろうか?
調査会社のCentris社が562人に対して行った調査では、Orange is New Backの認知度は、Netflix加入者で94%、非加入者でも72%と非常に高い。House of Cardの認知度は、加入者が89%、非加入者が72%であった。実際に視聴したのは、Orange is New Blackが44%、House of Cardsが31%となっている。
Netflixの第2四半期での加入者数は、アメリカで3509万人であった。Centrisの視聴率を使うと、Orange is New Backの視聴者は1540万人、House of Cardsは1090万人となる。Netflixのアカウントは家族で共有している場合が多いので、実際の視聴者数はこれより多くなるので、オリジナル番組の視聴者数でもNetflixはHBOに近づいていると言える。
NetflixのCEO Reed HastingはFacebookに、Netflixの売上がHBOを抜いたと書いている。Netflixの第2四半期加入者売上は$11.46億で、HBOの$11.41億を上回った。しかし、HBOの収益は$5.48億で、Netflixの$2.11億ドルに大きな差を付けている。Hasting氏は、収益とエミー賞の数ではまだHBOに追いつけないと、Facebookに書いている。
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