| インターネットビデオの字幕規制 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.122) |
2014年7月20日号
アメリカで放送されるテレビ番組には、表示する事を選択可能な字幕(クローズド・キャプション)が義務化されている。2010年のTwenty-First Century Communications and Video Accessibility法により、インターネットで配信されるビデオにも字幕の義務化も始まっている。
2013年9月以後、テレビで放送された番組(劇場映画を含む)、テレビで放送されるライブ、ニアライブの番組(ニュース、スポーツ中継等)、それにインターネット向けに再編集したテレビ番組がインターネットで配信される際、字幕の表示を可能にする事が義務付けられている。現在、インターネットでの字幕が義務化されているのは、字幕規制がすでに存在するTV番組(あるいはそのリメーク)が対象であり、インターネット配信向けのオリジナル番組(例えば、NetflixのHouse of Cards)は対象外である。
しかし、全国聾者協会(National Association of the Deaf)は2012年にNetflixに対して、字幕を求める訴訟を起こした。その和解の条件としてNetflixは、2014年までには配信する全ビデオに字幕を提供する事を約束している。Netflixはすでにすべてのビデオを字幕表示可能で配信しており、Amazon等の主要なストリーミング事業者は殆どのビデオに字幕を付けている。
また現在の規則では、ビデオ・クリップも対象外であり、ユーザ投稿のビデオ、TV番組のクリップ、カットされた場面等をインターネットで配信する際に字幕は必要とされていない。この内、TV番組からのビデオ・クリップに対しては、2016年から義務化が開始される事が最近決まった。義務化導入のスケジュールは、
• 2016年1月1日: テレビで放送された番組からのクリップに字幕を付ける
• 2017年1月1日: テレビで放送された番組からのクリップを1つに統合したクリップに字幕を付ける
• 2017年7月1日: ライブ、ニアライブのテレビ番組からのクリップに対してライブの場合は12時間以内、ニアライブの場合は8時間以内に字幕を付ける
これらの規制は、テレビネットワーク、放送事業者がそれぞれのポータルから配信する場合に限られており、例えば、YouTube等のサードパーティーが配信するビデオクリップは、それがTV番組からであっても対象にならない。FCCはその次のステップをして、サードパーティーが配信するテレビ番組のクリップ、TV番組のクリップとオリジナルクリップを統合したクリップ、あるいは予告編等の放送前のクリップ等も対象にするかに対して、意見を集めている。また、ライブ、ニアライブで放送された番組からのクリップに対する猶予時間を短縮するかも議論の対象になっている。
YouTube等のビデオの殆どは字幕規制の対象ではないが、ポピュラーなチャンネルは字幕をつけ始めている。YouTubeはユーザが投稿したビデオにも自動的に字幕を付ける機能を提供している。しかし、精度は高くなく、修正をしないと使うものにならない場合が多い。
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