| インターネットSTBのブーム (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.119) |
2014年4月20日号
Netflix等のストリーミングビデオのサービスをテレビで視聴可能にするインターネットSTB(以下iSTB)はニッチの製品であった。ストリーミングビデオを最初に使い始めた層は、Xbox、PSP等のゲーム機の利用層とオーバーラップする事から、ストリーミングビデオの視聴にはゲーム機が多く使われてきた。いずれはスマートTVが普及するので、iSTBは過渡期の製品と思われていた。名が知られているRoku、Apple TVでもアメリカ国内での利用台数は合計で1000万台程度でしか無い。
しかし、 昨年夏に出荷が開始されたGoogle Chromecastの売上は好調で、すでに数百万台が出荷されている。ChromecastはこれまでとのiSTBとは異なり、それ自体にアプリを走らせるのではなく、スマートフォン側にChromecast対応のアプリを使う。このために、スマートフォンが必需だが、価格は$35と安い。
また、先月にはAmazonからFire TVが発表された。Fire TV、Roku、Apple TV同様なデバイスで、価格も$100と同じレベルである。Fire TVは高速なプロセッサーを使い、ゲームを走らせる事が出来る。ゲームコントローラは$40で別売になっている。Fire TVのリモコンはマイクロフォンを内蔵し、音声での検索をする事が出来る。しかし、音声検索の対象はAmazonがInstant Videoで提供しているビデオとHulu Plusの番組にしか対応していない。
iSTBに対する関心が高まっている理由の1つにスマートTVの伸び悩みがある。フラットパネルテレビの出荷台数におけるスマートTVのシェアは2013年で33%であった。スマートTV機能はまだハイエンド機主体である。iSTBであれば、安いテレビ、あるいはコンピュータモニターでも$100以下でスマート化する事が出来る。
価格以外に、スマートTVに対する不満としては、アプリによりインタフェースと操作方法が大きくと異なる事もある。アプリによって操作が異なるのは、iSTBも同様である。共通インタフェースが無いのはスマートフォンも同じだが、小さな画面では使い方も自然と似てくるし、操作方法は基本的に同じである。スマートTV、あるいはiSTBの大きな画面とリモコンボタンの操作がこの問題を強調する。Googleはこの問題を解決しようとしている。
GoogleのGoogle TVは失敗であったが、iSTB、あるいはスマートTVにAndroidを使う事は諦めてなく、Android TVの開発を続けている。新しいAndroid TVではGoogle TVにあったようなテレビ画面にGoogle TVをオーバーレイする等の放送との融合機能は無い様だ。しかし、Android TVでは、Googleはアプリに対してインタフェースの仕様を提供し、アプリ間の操作感の差を無くそうとしている。利用者は異なるアプリも基本的に同じ操作で使うことが出来る。また、データの仕様を統一する事で、現在では困難である全アプリに対する検索等の機能も提供する事が出来る。
利用者に取り、便利な機能であるが、採用されるかはNetflix、Amazon、Hulu Plus等の大手ストリーミング事業者が賛成するかにかかっている。共通インタフェースはコンセプトとして良いが、果たしてNetflix等が自社のインタフェースがYouTubeと同じになる事をどう考えるであろうか。
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