| 4Kテレビの価格競争 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.116) |
2014年1月20日号
4K市場は、まだ本格的にスタートを切ったとは言えない。4K放送の予定はまだであり、Amazon、Netflixはそれぞれのオリジナル番組を4Kで制作をする事を発表しているが、4Kでの配信がいつ開始されるかは未定である。4Kコンテンツの提供は、Sonyが専用のプレーヤ向けにダウンロードサービスを提供しているだけである。
だが、受像機の方は早くも価格競争に突入している。最初に価格競争を始めたのは中国のSeikiで、2013年5月に$1000の50インチ、そして11月には$1200の55インチの4Kテレビを発表した。無名なブランドの会社であり、それほど大きな話題にはならなかったが、1月のCESでは、2つのよりブランド名のある会社が、$1000で4Kテレビを発表した。
1つは、Polaroidである。Polaroidはインスタントカメラで知られているが、現在の会社はそのブランドを購入した別会社である。旧Polaroid社は2001年に破産法11条の適用を申請し、社名を含めた資産を競売している。Polaroidのブランドは、Hilco Consumer CapitalとGordon Brothers Brandsが共同で購入している。CESで、Polaroidは$1000の50インチ4Kテレビと$600のRoku内蔵のHDテレビを発表した。4Kテレビは夏までに発売予定である。
もう1つの会社は、低価格のHDテレビで大成功したVizioである。Vizioは2002年に6人でスタートし、現在は売上31億ドル(Forbes社推定)になっている。Vizioの4Kテレビは50インチ、55インチ、60インチ、65インチ、70インチのラインアップで、50インチは$1000、70インチは$2600となっている。50インチでの価格はPolaroidと同じだが、VizioはスマートTVであり、Polaroidより一歩進んでいる。
最初に$1000の価格で登場したSeikiの4Kテレビはどうなっているか? 現在、Searsが$650で発売している。12月に価格チェックをした時は$700であったので、Polaroidの4Kテレビが出る頃には、さらに$500に近づいているであろう。Polaroidはブランドがあるが、テレビ分野ではVizioには負ける。また、Vizioの様にスマートTVでも無く、発売開始の時点で、すぐに値下げをする必要があるであろう。
既存のテレビメーカーに取り、市場が立ち上がる前からの価格競争は困った事である。これに対する韓国メーカーの答えは、画面の湾曲化のようで、CESでは湾曲を売り物にしていた。外見が同じでは、価格競争を避ける事は難しい。果たして画面の湾曲化、特に50インチ程度でその必要性があるかはともかく、ハイエンドの4Kテレビ、イコール、湾曲画面にする事は差別化になり、$1000での戦いから逃れる事が出来るかも知れない。だが、湾曲画面のテレビが売れれば、Vizio等もすぐに低価格な湾曲した4Kテレビを出すであろう。いずれは価格争いに巻き込まれる事になる。
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