| Netflixオリジナル番組の効果 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.112) |
2013年9月20日号
Netflixはその最初のオリジナル番組のHouse of Cardsを2013年2月に公開し、7月には4つ目のOrange is the New Blackを配信開始した。劇場映画、それにテレビ番組の見放題のサービスを提供してきたNetflixにとり、オリジナル番組の制作は大きなリスクである。最近、投資銀行のRBC Capital Marketsが、インターネット利用者1,078人を対象とした、オリジナル番組に関する調査結果を発表した。
最も関心が高いのは、はたしてオリジナル番組が加入者を増やすことに大きく貢献しているかであろう。この答えは、ノーである。RBCの調査では、オリジナル番組がNetflix加入に与えた影響が大きいと答えたのはたったの7%であり、74%はオリジナル番組の影響は無かったと答えている。
しかし、これは当然の結果である。NetflixのHouse of Cards公開は今年の2月で、それ以前からNetflixに加入していた人の加入の理由にオリジナル番組は無関係であった。オリジナル番組が加入者を増やしていく理由になるのには時間がかかる。Netflixを使っていない人にもそのオリジナル番組が知れ渡るのには時間がかかる。NetflixもThe House of Cardsでは、加入者は殆ど増えなかったが、3作目のArrested Developmentでは僅かな効果があったと発表している。
オリジナル番組は、加入者をサービスに留めておくことには効果がある。Netflixに加入している人たちの43%は、オリジナル番組がある事はサービスを継続する理由になっていると答えている。Netflix加入者の64%は過去3ヶ月以内にNetflixのオリジナル番組を見ており、20%の人たちは、Netflixを見ているビデオの視聴の半分以上はオリジナル番組になっていると答えている。
また、Netflixのサービスに大きく満足していると答えたのは、加入者の63%であった。昨年の結果は57%であるので、満足度も増えている。満足度の増加の理由がすべてオリジナル番組にあるとは言えないが、オリジナル番組以外では特に大きな変化は無く、貢献度は高いであろう。
オリジナル番組は利用者の満足度を増やし、脱退の可能性を低くしている。また、今後は加入者を増やしていく効果も出てくるであろう。しかし、問題はそのコストである。テレビ番組の再送信権を得るよりオリジナル番組制作は高く、また、失敗のリスクもある。Netflixの普及率は40%であり、加入者も増えているが、証券アナリストの評価は高くない。Netflixは、来年は16本のオリジナル番組を公開すると発表している。これは当然、経費を増やすことになる。
オリジナル番組を増やす事で、サービス料の値上げをする事が出来れば投資の回収は楽になる。だが、それは難しい。RBCの調査では、16%の加入者は、もしも料金が$1でも値上がったら、Netflixを止める可能性は高いと答えている。Netflixは、2011年にそれまで月額$10で提供していた郵便でのDVDレンタルとストリーミングのサービスを切り離し、それぞれを$8とした。この時にNetflixは加入者の満足度を大きく失い、最近に取り戻したばかりであり、値上げはしばらくは不可能であろう。
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