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| タイムシフト視聴の傾向 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.105) |
2013年2月25日号
DVRの普及と共にタイムシフトでの視聴は増えている。Nielsenの統計によると、タイムシフトしたテレビ番組を見ている人は2012年第3四半期で1.5億人で、テレビ視聴者全体(2.83億人)の53%になっている。タイムシフトでの月間平均視聴時間は、2012年第3四半期で11時間30分で、前年同期の10時間51分から6%増えている。
タイムシフト視聴が増えることは視聴率の測定に影響し、Nielsenは放送から7日間のタイムシフト視聴を調べていたが、それ以降の視聴は推測でしかなかった。Nielsenは新たに放送から29日間のタイムシフト視聴を調べ始め、その結果が発表された。これによると、地上波ネットワーク、多チャンネルサービス、それにシンジケートの番組で、タイムシフトの視聴は大きく違う。
ABC、NBC等の地上波ネットワークの番組の87.2%はライブで視聴されている。これに対して、多チャンネルサービスの番組、それにシンジケート番組のライブでの視聴は、それぞれ、93.3%と94.4%である。
この差は、番組のジャンルが影響している。全体として、ドラマ、コメディー、子供番組はタイムシフトされる可能性が高く、スポーツ、ニュース、クイズ、トークショーはライブで視聴される傾向が強い。地上波ネットワークは、ドラマ、コメディーを強みにしており、タイムシフトが増える。これに対し、多チャンネルにはESPN(スポーツ)、CNN(ニュース)のようにタイムシフトでは視聴される可能性が低い番組を専門としているネットワークが多くある。シンジケートで提供されている番組は、クイズ、トークショー、再放送ドラマが主体であり、どれもタイムシフトの対象にはなりにくい。
(図を拡大表示する)
言い方を変えると、地上波で放送されている番組は、賞味期限が長く、当日を過ぎても7.2%の視聴がある。これに対して、多チャンネルネットワーク、シンジケート物の賞味期限は短く、当日を過ぎると2、3%の視聴にしかならない。
タイムシフトされる事が多い番組、特に、7日間を過ぎた後でも視聴が多い番組に限定すると、もう1つのトレンドが明らかになる。これらの番組のライブでの視聴は地上波が63.9%、ケーブルが74.1%、シンジケートは91.3%になる。タイムシフトされる可能性が低い番組を除くと、地上波ネットワーク、多チャンネルネットワークの差は縮まる。多チャンネルネットワークにもドラマ等があり、それらのタイムシフトでの視聴傾向は同様である。面白いのは、7日間経つと、地上波ネットワークの番組の95.3%は視聴されているのに対して、ケーブルネットワークの番組は93.9%と逆転をする事である。
ケーブルネットワークには、7日間経った後でも6%の視聴があり、非常に賞味期限が長い。これには何が影響をしているのか。それは、Disney、Nickelodeon、Cartoon Network等の子供向けチャンネルである。親は、子供向け番組は録画し、週末等にまとめて見させる傾向がある。
(図を拡大表示する)
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