| 2013年はセカンドスクリーンの年 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.104) |
2013年1月30日号
2013年のCESの展示会場における大きな話題はウルトラHD(4K)TVであった。しかし、人々の会話の大きな話題は、ソーシャルTVを含めた、セカンドスクリーンであった。ウルトラHDがビジネスになるのはまだ先の事であるが、セカンドスクリーンは現在の問題を解決するものである。
コンテンツの多様化は、視聴者に取っていい事であり、コンテンツ事業者にも新たなオポチュニティをもたらしている。しかし、コンテンツが増える事でその発見は困難になっている。200のリニアチャンネルの中から面白い番組を探す事も大変であったが、現在ではこれに多チャンネル事業者のVOD、それにNetflix等のインターネットでのストリーミングが加わり、視聴可能なビデオは膨大な数になっている。
テレビのリモコンは、200チャンネルの時点ですでに陳腐化をしていた。テレビのリモコンでは、単純な検索でも大きな手間になる。高度なリモコンも発表されたが、リモコンだけに数百ドルを払う人は少ない。また、検索にテレビの画面を使うのも理想ではない。Google TVでは高度な検索が出来るが、その画面が視聴中の番組を邪魔してしまう。モバイルデバイス(スマートフォン、タブレット)は、この問題を解決している。視聴者は、すでに持っているデバイスを使い、視聴中の番組に影響をあたえること無く、次に見るビデオを探す事が出来る。
セカンドスクリーンは、ジャンル、俳優等の検索によるコンテンツの発見だけでなく、ソーシャルメディアを使った発見も容易にする。Facebookの友達が見ている番組、あるいはツイートで話題になっている番組を知ることも出来る。また、コンテンツの発見だけでなく、見ている番組に関する会話をする、あるいは番組に関連した情報を得ることにも使える。
しかし、まだ大きな課題が残されている。1つは、セカンドスクリーン側がテレビでどの番組が流れているかを知る事である。音声のフィンガープリントを使った自動認識技術があるが、認識には数秒かかり、また、賑やかな場所では認識が出来ない。一部のSTBは、どの番組が見られているかをセカンドスクリーンに送る事が出来る。しかし、その規格化はされていなく、対応可能なアプリは限定されている。
もう1つの課題は、セカンドスクリーン側からテレビ、あるいはテレビに接続されたデバイスのアプリケーションを立ち上げる機能だ。セカンドスクリーンで見たいビデオを探しても、それが簡単にテレビに再生出来なければ、意味は無い。テレビ、あるいはテレビに接続されたデバイス側で、セカンドスクリーンで探したコンテンツをアクセス出来るアプリを立ち上げる必要がある。あるいはセカンドスクリーン側で再生し、その画面をテレビにミラーするにしても、そのアプリケーションを起動させなければならない。
この問題をNetflixとYouTubeは共同で解決しようと、DIALと呼ばれるオープンプロトコルを開発している。DIALはDiscovery and Launchの略で、プロトコルの目的はその名の通り、ネットワーク上にあるDIAL対応のデバイスを発見し、指定したアプリを立ち上げる事である。例えば、スマーフォンでNetflixのアプリを使い、映画を探し、それをテレビで見る場合、DIAL対応のスマートTVであれば、スマーフォン側から自動的にスマートTVでNetflixのアプリを立ち上げ、見たいビデオのURLを送る事が出来る。
セカンドスクリーンとファーストスクリーン(テレビ)をシームレスにつなげる事を可能にする技術が登場し始め、セカンドスクリーン市場が本格的に動き始めている。
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