DRI テレコムウォッチャー  from USA

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 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダを対象としています。


YouTubeの競合はどうなった? 
(ブロードキャスティングレビューシリーズ No.97)
2012年6月25日号

 Googleは、YouTubeを2006年に購入した。インターネットビデオ市場において、YouTubeの地位は圧倒的である。ComScoreが発表した、5月のインターネットビデオ視聴統計によると、アメリカのインターネットビデオ視聴者は1.8億人で、Google系サイトの視聴者は1.5億人であった。インターネットビデオ視聴者におけるGoogleのシェアは83%で、2位のYahoo(視聴者5,776万)を大きく引き離している。しかし、YouTubeがその当時に登場した唯一のビデオ投稿サイトではなく、多くの競合があった。

 YouTubeと同じ、2005年にスタートVeohは、現在のYouTuneのモデル(ユーザ投稿とプレミアムコンテンツの混在)をいち早く導入した会社であった。Time Warnerを含めた会社から7000万ドルのベンチャー資金を得、Disney、Warner Brothers、CBS等との契約があった。しかし、ユーザ投稿のビデオには不法コピーも多く、正式なコンテンツと不法なコンテンツが混在する事になり、契約をしたコンテンツ事業者を怒らせる。Veohは、2007年にUniversalに訴えられ、その訴訟経費がかさみ、2010年に破産し、資産はイスラエルのQlippoが購入した。

 Revverは、YouTubeより早い、2004年にスタートした、ユーザ投稿ビデオのサイトであった。広告を売り、その収入を投稿者と分けるモデルを最初に導入したサイトである。これにより、良いコンテンツが集まり、YouTubeの大きな競合であった。しかし、Revverのビジネスモデルには問題もあった。Revverはアクセスのあったビデオの投稿者全員に支払いをしていたため、タイトル、説明が注目を引くが、内容はつまらないビデオの投稿が増え、その結果、利用者を失っていく。Revverは2008年に500万ドルでサイトを売る。その後、支払いが滞り、2011年にサイトは消滅した。

 Skypeの設立者が作ったJoostは注目をされた。同社のコンセプトは、ユーザ投稿ではなく、コンテンツ事業者と契約し、その配信を行うと言う、現在のHuluに近い物であった。設立者は著名で、資金もあり、大きな話題になった。しかし、Joostの配信がP2Pであった事が問題でった。P2Pであるため、ブラウザーからのアクセスは出来ず、専用のソフトウェアが必要であった。また、P2Pに対しては、コンテンツのセキュリティー上の不信感があり、コンテンツ事業者も好まなかった。この為、話題にはなったが、その機会を活かせなかった。その後、サーバー配信に変わったが、コンテンツ事業者との契約は出来ず、2009年に売られ、サイトは最近消滅した。

 ある程度の成功をしたした会社もある。Blip、Metacafeは共に、ユーザ投稿からオリジナルコンテンツの配信にスイッチした。Metacafeは最近、The Collectiveに買収されている。The Collectiveはタレントエージェンシーで、YouTube等で著名になったタレントを代表している会社である。Vimeoはユーザ投稿のタレント発掘で成功し、インディーからメージャーの橋渡し的な存在になっている。Vimeoは、元Fox BroadcastingのCEOであったバリーディラーが持つIACが保有している。

 欧州では、フランスのDailymotionが成功をしている。アメリカでも利用者を増やそうとしているが、成功していない。Dailymotionはフランスの通信事業者のOrangeが、2011年に49%を買い、最近、残りの51%を7200万ユーロで買っている。OrangeはそのIPTVサービスの為にコンテンツを資産を増やそうとしている。


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