TiVoはDVRのパイオニアであり、DVRの代名詞になっているほど著名だが、その利用者数は多くない。その利用者のピークは2006年1月の436万世帯であった。それから減少を続け、2011年7月には200万を割り、193万となった。TiVoが加入者を失っていたのは、DirecTVとの契約が切れ、DirecTVはTiVoからNDS製のDVRに乗り換えた為である。
TiVoはハードウェアを売り、それを使う為にはさらに料金を払わなければならいという、成功が困難なビジネスモデルを使っている。TiVoの中間機種はPremiere XLで、価格は$299である。録画予約の為のEPGサービスは月額$20、あるいは製品を使っている限り有効のライフタイム価格が$500となっている。しかし、これは録画するコンテンツは地上波放送だけであり、さらにケーブルTVへの加入が必要となる。
TiVoが1999年に登場した時の価格は$700と言う、高価な値段であった。TiVoの利用者が増えたのは、衛星放送事業者のDirecTVがそのDVRサービスをしてTiVoを採用したからである。DirecTVは長期契約を条件にTiVoを低価格で売り、また、DRV使用料も何十ドルの視聴料への追加であり、それほど高価に感じさせない。
DirecTVをパートナーとして失ったTiVoは、Netflix等のストリーミングビデオへの対応等の機能を加えたが、加入者を増やすことは出来なかった。ComcastがTiVoを採用する決定をした事で、回復するかと思われた。しかし、Comcastが採用をしていたMotorola製のDVRにTiVoのソフトウェアを移植する計画はうまく行かず、2007年にニューイングランドでテスト導入をしただけで、進むことなく2011年に中止となった。
TiVoは中小ケーブルTV事業者との契約を進めていった。メタデータはTiVoが提供しており、TiVoを採用する事で、ケーブルTV事業者は簡単にDVRサービスを提供する事が出来る。TiVoは、Charter、RCN、Suddenlink、Grande等と契約を結ぶことに成功する。また、中小ケーブルTV事業者共同組合のNational Cable Television Cooperative(NCTC)と契約し、そのメンバーがTiVoのDVRを導入しやすくしている。また、海外にも進出し、スペインのONOとイギリスのVirgin Mediaと契約をした。
しかし、最も大きな契約は、DirecTVとの復縁である。2月8日からDirecTVは、TiVoベースのDVRの提供を再開した。DirecTVはHD対応のTiVOを$199で販売し、サービスを月額、$12で提供する。DirecTVが提供するTiVoからはNetflix、YouTube等のOTT-Vへのアクセス機能が除かれている。
また、TiVoは2012年2月に、世界最大のSTBメーカーのPaceと契約し、PaceがTiVo機能を内蔵したDVRを製造販売する。TiVoが市販しているDVRはアメリカのケーブルTVには対応しているが、他の伝送方式のサービスで採用をする場合は新たにDVRを開発しなければならない。Paceは、ケーブルTV、衛星放送、IPTV向けと多様なサービス向けのSTBを開発しており、事業者は簡単にTiVoのDVRサービスを導入出来るようになる。