VerizonはFiOS TVのサービスを拡大し、ケーブルTV事業者との競合を進めるのではなく、競合する方法を選んだ。同社は、Comcast、Time Warner Cable、Bright House、Coxが持つ無線通信の帯域を購入し、お互いのサービスの共同販売をする事を1月に発表知った。
しかし、映像サービスから手を引くわけではない。Verizonは、Coinstar/Redboxとの協力で、Netflixに競合するディスクのレンタルとストリーミングのサブスクリプション型サービスを提供する。Coinstar社の持つRedboxは、Netflixと並ぶビデオレンタルの再大手である。Netflixは、郵便を使いビデオのレンタルをしているのに対して、Redboxはスーパーマーケット等に設置した自動キオスクでビデオのレンタルをしている。Redboxは全米で33,000のキオスクを設置しているが、Netflixの様なストリーミングのサービスはこれまで提供をしていなかった。
VerizonとCoinstar/Redboxのアライアンスの概要は:
このまだ社名が決まっていない会社は、Verizonが65%、Coinstarが35%を持つジョイントベンチャーになる。最初の投資額は、Verizonが4000万ドルで、Coinstarが1400万ドル。
サービスはNetflixと同様に、ディスクとストリーミングのサブスクリプション型だが、ダウンロードのオプションもある。
サービスはVerizonの加入者だけでなく、全米対象で行われる。
Redboxは既存のコンテンツ事業者との関係を使い、コンテンツの交渉を行う。Redboxの既存のサービスとの連携があるかは不明。VerizonはそのFiOS TVサービスでの関係を使い、TVコンテンツの交渉をする。
サービスは2012年後半にスタート。
サービスは、Netflixとほぼ同様な物になると思われるが、1つ大きな違いがある。Netflixは、自社ではネットワークを持たない、典型的なオーバー・ザ・トップのサービスである。多チャンネル事業者に取り、競合サービスであり、ブロードバンド事業者に取り、ただ乗りで、儲けている会社である。これに対して、Verizonは多チャンネル事業者でもあり、また、自らバックボーンから4Gネットワークまで持つ通信事業社である。Verizonは、Netflixと同じビジネスモデルを追求する事は無い。もし、同じモデルを使った場合、それは自社のFiOS TVを否定し、また、協力関係を作ったばかりのケーブルTV事業者に対する挑戦にもなってしまう。
Verizonは、多チャンネルサービスと競合するのではなく、補足するサービスの方向を選ぶであろう。ストリーミングサービスは、必ずしも多チャンネルサービスの敵ではなく、多チャンネル事業者も独自でTV Everywhereのサービスを提供している。Verizonは、ケーブルTV事業者に対して、このサービスの再販のオプションを提供するであろう。ケーブルTV事業者は、Verizonと協力する事で新たな収入を得るだけでなく、TVサービスと融合したサービスを提供する事も可能になる。ケーブルTVが提供するVODとのコンテンツでの棲み分けが出来れば、サブスクリプション型のストリーミングとトランザクション型のVODはお互いを補充する物になる。ケーブルTVのSTBからストリーミングサービスへのアクセスが出来れば、それはNetflixとの競合上で非常に大きな武器になる。