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家庭のビデオ・エンターテイメント市場の変化
(ブロードキャスティングレビューシリーズ No.88)
2011年9月20日号

 家庭向けビデオ・エンターテイメント市場で最も大きいのは物理媒体(ディスク、その前はテープ)での販売であった。レンタル事業も成長をしてきたが、販売金額の方がレンタル額を上回ってきた。しかし、2011年の前半では、ビデオのレンタルが販売を上回った。VODを含んだビデオレンタル額は2011年前半で41.95億ドルで、EST(電子媒体での販売)を含んだビデオ販売の41.4億ドルを若干であるが、上回った。2010年前半ではビデオ販売は49.98億ドルで、レンタルの37.82億ドルを大きく上回っていた。

 物理媒体に限定すると、2011年前半では販売額は38.7億ドル、レンタルが32.66億ドルで、販売額の方がまだ多い。しかし、2010年前半からの成長率を見ると、販売額はマイナス18.31%の減少であるのに対して、レンタルは12.92%増えており、2011年後半には物理媒体だけに限ってもレンタルが販売を追い抜く事になるであろう。

 VODを含んだレンタルは、2010年前半から2011年前半にかけ、10.92%、VOD無しでは12.92%の成長をしている。また、レンタル事業の内訳も大きく変化している。ビデオレンタルの筆頭は、店舗での貸し出しであった。しかし、店舗でのビデオレンタルはここ数年で大きく減っている。2010年前半では店舗でのレンタルは、VODを含めたビデオレンタル全体の32.9%であったのが、2011年前半では21.4%に減っている。ビデオレンタルのチェーンでは最大のBlockbusterは破綻し、2011年4月に衛星TV事業者のDish Networkにその資産を買われている。

 これに対して、Netflixが代表するサブスクリプション制のレンタル(物理媒体とストリーミングを含む)は2010年前半では、28.4%を占めていたのが、2011年前半では37.3%へと増えている。しかし、Netflixは、最近DVDの郵便レンタルとストリーミングを切り離して、実質60%もの値上げをしたことで会員の不満が出ている。脱退も増え、Netflixは60万の会員を失うことを予想しており、サブスクリプション制のレンタルの成長は2011年後半には停滞するかも知れない。

 これに代わり、2011年後半にはRedbox、それにBlockbuster Expressが提供している自動キオスクを使ったレンタルが大きな成長を見せる可能性がある。自動キオスクを使ったレンタルは2010年前半は15.2%であり、2011年後半には19.2%に増えている。Netflixの会員の多くはストリーミングサービスを継続し、DVDの郵便レンタルをキャンセルする事が予想されており、この分、自動キオスクのレンタル、それに店舗でのレンタルが増えると思われる。

 VODは2010年前半は8.9億ドルであったのが、2011年前半では9.29億ドルに増えている。しかし、ビデオレンタルにおけるシェアは23.5%から22.1%へと減少をしている。ESTを含めた電子媒体での取引額は2010年前半から2011年前半にかけ、4.31%しか成長していない。ビデオ・エンターテイメントにおける電子媒体のシェアはまだ、14.4%でしかない。



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