インターネット上のストリーミングビデオの視聴は増え続けている。ComScore社の統計では、6月にはアメリカで1.78億人がインターネットでビデオを視聴し、その平均月間視聴時間は16.8時間であった。しかし、ビジネスとしてストリーミングビデオで成功をする方法は、未だ明白ではない。
Huluは広告収入のモデルでスタートをした。インターネット上のビデオ広告の配信プラットフォームとしてはHuluが最大で、その2010年の売り上げは2.63億ドルであった。インターネットビデオの広告収入は2010年で約5億ドルであったが、地上波TV広告の446.4億ドルと比べるとまだ僅かでしかなく、TVをリプレースする事は出来ない。広告収入を増やすには、広告本数を増やす必要がある。1年前からすると1つの番組に挿入される広告数は倍増し、1時間物で6分程度になっている。しかし、放送時に挿入される16分の広告に比べると、その規模はまだ少ない。Huluに投資をしているTVネットワークの1つのFoxは、増収のためにHuluがさらに多くの広告を挿入する事を求めている。
しかし、広告を増やすと視聴者を失うリスクもある。Huluに投資をしている他の2社のABCとNBCは、Foxの考えには100%合意をしていなく、さらなる有料化を進める方向に関心を持っている様である。Huluの有料版のHulu Plusの加入者は増えており、6月で875,000人に達したと発表している。2011年末には100万人を越すが、100万人の利用者がいても、年収は9600万ドルでしかない。この、今後のHuluのあり方に関して、ABC、NBC、Fox間で意見が合わず、これがHuluが売りに出された理由の1つにある。
Netflixは、その会員制の郵便を使ったDVDレンタルのサービスの一部としてビデオのストリーミングを提供した。この方法は大成功し、Netflixの加入者数は2200万人を越えている。しかし、そのビジネスモデルにも問題がある。Netflixは今月、DVDレンタルとストリーミングのサービスを切り離し、それぞれを月額7.99ドルとした。両方を使う割引は無く、以前と同じにDVDレンタルとストリーミングの両方を使う場合、月額15.98ドルとなり、これまでの料金(9.99ドル)から60%の大幅な値上げとなった。
Netflixは、ストリーミングを無料オプションとして提供する事で、ビデオのレンタルはDVDからストリーミングへ徐々に移行をして行こうと考えていた。しかし、この考えは外れ、DVDのレンタルは減らず、ストリーミングが増えている結果になっている。その一番の理由は、コンテンツ事業者がビデオのストリーミングに対して高価なライセンス料を求めていることである。ライセンス料が高価な為、Netflixは最新映画をストリーミングで提供する事が出来なく、新しい映画のレンタルはDVDへの依存が続いている。Netflixは古い映画、それにTV番組をストリーミングで配信し、これはこれで人気を得ている。この結果、DVDのレンタルが減ることなく、ストリーミングが増えて行くという、最悪の結果になってしまった。
Netflixの値上げに対しては、加入者からは大きな批判が出て、キャンセルをする人も増えている。Netflixは、強制的に切り離しをする事でDVDのレンタルサービスの利用者は減り、多くの利用者はストリーミングを選ぶと考えている。しかし、人々はDVDレンタルを止める準備が出来ているだろうか。自動キオスクでDVDレンタルを行っているRedBox等に利用者を奪われる可能性がある。また、ストリーミングだけのサービスとなると、同じ料金のHulu Plusに加入者を奪われるリスクもある。