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スマートホーム市場への注目 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.80)
2011年1月20日号

 家庭のセキュリティー、エンターテイメント、エネルギー管理、ヘルスケア、インテリジェント化を融合するスマートホーム市場は過去にも何度か立ち上がりの気配を見せたが、成功には至っていない。しかし、スマートホーム市場は、再度大きな注目を集め始めている。

 2010年10月にケーブルTV事業者のComcastがテキサスで、Time Warner Cableがニューヨークで、それぞれホームセキュリティーのサービスを開始する事を発表した。Comcastはスマートホームの技術を開発しているiControl社にCisco等と共に投資をしており、このサービスにはiControlが協力をする。

 11月にはブロードバンド事業者向けの製品では、Ciscoの最大の競合であるMotorola MobilityがiControlの競合の4Homeを買収した。12月にVerizonはニュージャージに於いて、ホームセキュリティーを含むスマートホーム・サービスのテストを開始する事を発表した。このVerizonのテストサービスには4Homeの技術が採用される。さらに12月にはAT&Tはスマートホーム・ソルーションを開発しているXanbooを買収している。

 スマートホームが注目をされている背後にはスマートグリッドのブームがある。スマートグリッドはIT技術を使った電力供給インフラストラクチャーのアップグレードであり、2007年からアメリカ政府の主要政策として補助金を受け市場が急速に発展している。スマートグリッドの第一歩として、家庭のエネルギー管理のゲートウェイとなるスマートメーターの導入が急ピッチで進められている。

 スマートメーターの効果が発揮されるにはこれに対応したサーモスタット、家電製品、それにそれらをつなぐホームネットワークが必要となる。エネルギー管理の目的だけで、これら製品を普及させていくのは、家庭のインテリジェント化であるスマートホームのコンセプトを売り込んでいく必要がある。スマートグリッドの普及がこのまま進むとすれば、スマートホーム市場は必然的に成長をする事になる。

 スマートホームには、エンターテイメント、ビデオカメラによる家庭の監視も含まれ、通信事業者とし、ケーブルTV、電話会社はスマートホーム市場に参入している必要がある、ブロードバンド機器を提供するCisco、Motorola Mobilityとしてもスマートホーム技術に投資をしておく必要がある。

 通信事業者にはスマートホームに参入するもう1つの目的がある。スマートメーターは双方向通信を必要とする。現在はラジオ波のメッシュネットワークが多く使われているが、アプリケーションにより、さらにリアルタイム性があり、高速な通信媒体も必要となる。Verizon、AT&Tはすでにそのモバイル網をスマートメーターのネットワークとして売り込みをしている。AT&TはXanbooの買収と同時に、スマートメーター会社のElsterと協力をし、Elsterのスマートメーターを接続するネットワーク環境(Advanced Metering Infrastructure、AMI)にそのモバイル網を使う事に合意している。通信事業者として、スマートグリッド市場のベンダーと関係を築くことが重要になっている。

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