ComScore社の統計によると、オンラインビデオの視聴者は、2009年12月で、インターネットユーザの86%に値する1.78億人に達した。1年前の2008年12月は1.5億人であった。2009年12月に視聴されたオンラインビデオの本数は332億本で、前年同期の143億本から、150%の成長を見せた。1視聴者あたりの平均月間視聴本数は、2008年12月では96本であったのが、2009年12月には187本へと増えた。
インターネットでビデオを配信しているサイトのトップは依然として、Google/You Tubeで、1.358億のユニーク視聴者を持ち、2009年12月で月間132億本のビデオをストリームし、全体の約40%のシェアがあった。ユニーク視聴者数での2位は、Yahoo!で、5980万人がYahoo!でビデオを視聴した。
2009年12月にストリームされたビデオ本数の2位は、Huluで、10億本のビデオを配信した。Huluの平均的視聴者は1月に2時間以上のビデオをHuluで見ている。
Huluの登場により、インターネットビデオの視聴に変化が出ている。これまでのインターネットビデオは、ユーザ投稿の短編が主であったが、Huluの登場で、TV番組をインターネットで視聴可能になり、視聴時間が増えている。
HuluでTV番組をインターネットで視聴する事が可能になっているが、その殆どの視聴者はHuluでテレビをリプレースするのではなく、HuluはDVR代わりに使われている。Nielsen社が行った視聴者調査では、インターネットでTV番組を見る理由のトップは、TVで放送された特定のエピソードを見逃したからであった。
インターネットでTV番組を見る理由 |
TVで放映された時に見逃した特定のエピソードを見るため | 54% |
今シーズンの多くのエピソードを見逃し、そのキャッチアップのため | 47% |
今シーズンが始まる前に、前シーズンにキャッチアップするため | 33% |
TVで放映したエピソードの録画を忘れたため | 32% |
家の他の人が、TVを見ていて、特定エピソードを見られなかったため | 18% |
仕事中にTV番組を見るため | 12% |
旅行中にTV番組を見るため | 12% |
出典:Nielsen Company
Google/You Tubeがストリームされた本数では40%との大きなシェアを持っているが、インターネットのビデオ視聴は、特定のサイトに集約されている訳ではない。2位のHuluのシェアは3%、3位のMicrosoftは1.7%であり、トップ10サイトの合計は52%でしかない。膨大な数のサイトが、残りの48%のシェアを分けている。
Microsoftでさえ、1.7%のシェアしか取れないインターネットビデオ市場で生存する事は厳しい。殆どの主要なサイトはGoogle、Yahoo!の様にすでに大きなトラフィックのあるポータル系、あるいはHuluの様なコンテンツ系であり、ビデオ配信だけをそのビジネスモデルとした会社が収入を出すことは困難である。Skypeの創立者が作り、大きな話題となったJoostが失敗し、無くなったのに続き、2月にはTime Warner等から7000万ドルのベンチャー資金を受けていたVeohも破産をしている。
(NSIリサーチ社は、2010年1月に、放送・メディアの規制環境とFCCの活動を調べ、まとめた、
新しいレポート「アメリカの放送・メディア政策と規制の状況、FCCの役割」を出版しました。)