DVDレンタルチェーン店のトップ2はBlockbusterとMovieGalleryであった。Blockbusterは全米に7000以上の店舗を持ち、MovieGalleryはMovieGallery、Hollywood Video、Game Cray等3,300のチェーンを持っている。しかし、どちらの経営状況も良くない。
MovieGalleryは2005年に2000以上の店舗を持つHollywood Videoを買収した。しかし、その後、経営不振で店舗数を減らし、ピークであった2005年の4,800店舗から3,300店舗に減っている。2007年には6.2億ドルの赤字を出し、2008年には会社更生法の適用を受けるに至った。
Blockbusterも2004年の60万ドルをピークに売上げは減っている。2007年から店舗を減らし始め、2009年には最大で960店舗を閉鎖の予定である。現在、弁護事務所のKirkland & Ellisがその経営再建に入り、会社更生法の適用から逃れようとしている。
DVDレンタルチェーンの経営状況は悪いが、DVDのレンタルが不振になっている訳ではない。郵便を使ったDVDレンタルのNetflixは好調で、1000万以上のメンバーを持ち、2008年の売上げは、2007年比、13%増の13.6億ドルで、利益は24%増の8300万ドルであった。Netflixはそのメンバーに対し、無料で映画のVODをインターネット上で提供している。映画はPCで視聴出来る以外、Roku社の専用プレーヤ、LGとSamsungのBlue-rayプレーヤ、VizioとSonyのTV、MicrosoftのXBOX、TiVOのDVRからも利用出来る。
DVRレンタルではもう1社、注目されているサービスある。それはCoinstar社のRedboxである。RedboxはハンバーガーフランチャイズのMcDonaldが2002年に新規市場への参入として始めた物で、その名のように、赤い自動キオスクをスーパーマーケット等の店舗内に設置し、DVDを一晩1ドルで貸し出している。キオスクはマクドナルド、スーパーマーケット、ディスカウントストアなどに設置され、1台で約200タイトル、700のDVDを持っている。利用者はメンバーシップ無しで、手軽にレンタル出来、返すのはどのキオスクでも良い。オンライン、またはキオスクから借りたいDVDの予約を入れることも出来る。
Redboxの利用は急速に増えており、NetflixもRedboxをその最大の競合として見始めている。Redboxのキオスクはすでに19,000以上あり、Coinstarは2012年までにそのキオスクの数を倍にする予定である。Redboxはマクドナルドの手からCoinstar社に移り、現在Coinstar社の売上げの半分を占めている。Coinstar社の第2四半期の売上げは、110%の成長を見せ、1.9億ドルとなっている。
Redboxの急速な成長に映画会社も当惑を見せている。DVDのレンタルが増える事はDVDの販売を減らす可能性があるが、それ以上に映画会社が恐れているのはRedboxがレンタルに使ったDVDを安値で売ることである。これまでも時間がたったレンタルDVDは中古として値引きで売られてきた。しかし、何千店舗のチェーン店と2万近いキオスクのRedboxでは中古として売られる枚数が違う。また、キオスクではDVDを置いておく期間が短く、短い期間で中古として販売され、DVD販売に影響をもたらす可能性がある。Redboxは$7で中古DVDを販売している。
すでに、Universal社、Fox、WarnerがRedboxに対するDVDの提供を、DVDの販売より、28日から45日間遅らせている。これらの映画会社に関しては、RedboxはDVDを直接に購入するのではなく、小売りから購入する事で、新作リリースと同時に貸し出す事を続けているが、仕入れコストは当然高くなる。これら映画会社に対して、Redbox訴訟している。