調査会社のCentris社によると、ケーブルTVの平均月額は71ドルである。 他の多チャンネルサービスの衛星放送(DBS)、あるいは電話事業者のIPTVも同様な価格であり、不況時には贅沢として加入者が減るかとも思われるが、その気配は無い。多チャンネルサービスは不況に強い市場と言われている。不況になると、家にいる時間が増え、テレビの視聴が増え、大切な娯楽として多チャンネルサービスの重要度が増える。前回のドットコム不況の時にも多チャンネルサービスの加入者は増え続け、今回の不況でもその強さを見せている。
2008年末での多チャンネルサービスの加入者数は9890万世帯で、2007年の9758万世帯より1.3%の増加をした。2006年から2007年の成長率は0.9%であった。特にIPTVは大きな成長を見せ、2007年の117万世帯から2008年には315万世帯へと3倍近い成長を見せ、多チャンネルサービス事業者としてVerizonは9位、AT&Tは12位になった。IPTVほどでは無いが、DBSへの加入者も2007年の3060万から2008年は3130万へと増えた。ケーブルTVへの加入者は減少を見せたが、それでも6480万から6430万であり、50万の減少にとどまった。
多チャンネル市場は2009年に入っても好調である。VerizonのFiOS TVの加入世帯は第1四半期に299,000増え222万に達した。AT&TのU-Verse TVの加入者は3ヶ月間で284,000増え、133万になった。
電話事業者の多チャンネルサービス市場への参入はケーブルTV市場に大きなインパクトを与えているが、ケーブルTV市場が不振になっている訳ではない。ケーブルTV事業者では1位のComcastは2009年の第1四半期78,000の加入者数を失ったが、売上げは前年同期比は5.3%増であった。ComcastのケーブルTVサービスの売上げは3%増であったが、ブロードバンドは9%、デジタル電話は32%の増加をした。
アナリストはTime WarnerからスピンオフをしたTime Warner Cable(TWC)は77,000世帯の加入者を失うと予想していたが、TWCは逆に36,000の加入者を増やし、売上げも前年同期比で4.9%増えた。3月に会社更生法適用の申請をした、Charterでさえ、加入者は22,000減ったものの、売上げは6.5%の増加であった。
特に大きな成長を見せたのは、Verizonに加え、AT&Tとの再販契約を結ぶことに成功した、DBS事業者のDirecTVで、この2009年最初の3ヶ月間で460,000の加入者を加えた。そのチャーンは1.3%と、過去10年間で最小であり、2004年以来最高の四半期における加入者の成長を記録した。
AT&TはこれまでDISH Networkの衛星放送のサービスをU-Verseが提供されていない地域で再販してきたが、DISH Networkとの契約を更新せず、2009年1月31日からDirecTVのサービスを再販し始めた。AT&Tとの再販契約を失い、加入者を大きくと失う事が予想されていたDBS事業者のDISH Networkは第1四半期の加入者ロスは94,000世帯であった事を発表した。しかし、そのDISHでも売上げは前年同期比で2.1%増え、収益は20.8%もの増加を見せている。