Nielsen Onlineの統計によると、インターネット上でのユニーク・ビデオ視聴者は、2009年3月で1.3億人であり、2月より1.9%増えた。合計ストリーム数は967万本で、2月の890万本より、8.7%の増加があった。合計ストリーム数の内、548万本はYouTubeが配信したものであり、そのシェアは57%になる。
YouTubeのシェアは圧倒的であり、そのインターネット・ビデオにおける地位は不動に見えるが、必ずしもそうではない。インターネット・ビデオの市場は過去1年で大きく変わっている。1年前、インターネット・ビデオにおける主要なサイトはユーザ投稿が主体のYouTube、Yahoo!、MySpace(Fox Interactive Media)、MSN等のインターネット系のものであった。それが、2009年3月のシェアを見ると、TV番組を配信するHulu(NBC UniversalとFox)、Nickelodeon、ABC.com、Turner、MTV、CNNのコンテンツ系の6社がトップ10入りをしている。
中でもHuluがスタートしてから1年で、2位に入った事は大きなことである。YouTubeとHuluでは配信ストリーム数は大きく違う。しかし、YouTubeが配信しているのは3分程度のビデオが主体であり、HuluはTV番組、あるいは映画を配信していることを考えると、この比較は必ずしも平等ではない。視聴時間は不明であるが、もし、Huluの1本の平均視聴視聴時間がYouTubeの10倍とすると、その差はかなり縮まる。
YouTubeもHulu、その他のコンテンツ事業者が始めているビデオ配信事業の脅威を認識している。YouTubeは圧倒的なストリーム数上でのシェアを持っているが、ユーザ投稿のビデオは殆ど広告無しであり、収入は少ない。証券会社のCredit Suisseは、YouTubeは昨年で4.7億ドルの損失があったと推定している。今後、広告価値のあるTV番組、映画の配信をHulu等に奪われたのでは、YouTubeが収益を出すことはさらに困難になっていく。
YouTubeは最近、そのTV番組、映画の配信を増やすためにSony、Lionsgate、CBS、MGM、Liberty Media、Discovery等との契約を発表した。YouTubeはその「Shows」のカテゴリーから、これらコンテンツ事業者のTV番組、映画の配信を行う。多くのコンテンツは古い物だが、CBSの「Harpers Island」等、新番組の配信も含まれる。これらTV番組、映画には広告が挿入され、その収入はYouTubeとコンテンツ事業者が分けることになっている。