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DRI テレコムウォッチャー from USA |
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このシリーズは毎月20日に掲載!!
| 成長をするカスタムホームエレクトロニックス市場 |
2006年6月25日号
カスタムホームエレクトロニックス市場は日本ではあまり話題になっていない市場である。家庭向けのカスタマイズされたホームエレクトロニックス製品の設置ビジネスであり,セキュリティー,照明管理,空調管理,ホームオートメーション,通信,オーディオ,ビデオ等が含まれている。カスタムホームエレクトロニックスは基本的にハイエンドの市場であり,豪邸と言われるような住宅へのエレクトロニックス製品の設置である。
この分野の業界誌であるCE Pro社が毎年行っているCE(カスタムエレクトロニックス)ディーラの調査によると,2001年時点での平均的なプロジェクト規模は$12,444であった。1社平均の年間プロジェクト数は2001年では328件であった。
この数年でカスタム(ホーム)エレクトロニックス市場はかなり変わってきている。2000年初めの時点ではセキュリティー,照明,空調,その他のホームオートメーションが重要な機能であったのが,A/V,それにホームネットワークが求められる機能になっている。IPodに代表される,音楽のデジタル化により,ホールハウスオーディオ(家全体のオーディオ),あるいはマルチルームオーディオに対する需要が大きくと増している。また,フラットパネルディスプレイの普及によりホームシアターの需要も増えている。大型のディスプレイ等が低価格になることで,カスタムエレクトロニックスはハイエンドだけの市場では無くなり始めている。CE Pro社の調査では2005年のCEディーラの平均プロジェクト数は2001年から大きく増え,1社平均2325件になっている。しかし,その分,プロジェクトの平均規模は小さくなっており,平均金額は2005年で$2,998に下がっている。
しかし,ハイエンドの市場が無くなっている訳では無い。逆に,家電とIT技術の融合によりハイエンド市場はさらにハイエンド化が進んでいる。大型のホームシアターが増えれば,その為のサービスへの需要も出てくる。DirecTVはこれらハイエンドのホームシアター等を導入した家庭向けに,最近,DirecTV Titaniumと呼ばれるサービスを発表した。TitaniumサービスではDirecTVが提供するTV番組からPPV,VODの映画まで,全てのプログラミングに追加料金無しでアクセス可能であり,最大10台のDRVが提供される。さらに,24/7のコンシェルジュサービスがあり,見たい映画等を探してくれる。このサービスの価格は年間$7,500である。このようなハイエンドのカスタムエレクトロニックス・ディーラとしての大手はAudio Command Systems(ACS)社である。同社は2005年で180件のカスタムプロジェクトを請け負っただけであるが,平均単価は13万ドル以上で,年商は2350万ドルある。
ACSとは逆にローエンドのカスタムエレクトロニックスを専門にする会社としては,CE Pro社の調査では年商8000万ドルで,CEディーラのトップであるTweeter Home Entertainment Group社がある。Tweeterは全米154カ所に店舗を持ち,A/Vのカスタム設置を主体に行っている。同社の平均プロジェクト単価は$1,818だが,2005年で44,000件の設置を行っている。
CE Pro社の調査では2005年におけるCEディーラトップ100社の合計年商は7.04億ドルで,2004年から23%の成長があった。市場は,A/V,セキュリティー,空調管理等の機能がホームネットワークで結ばれた,本格的なホームオートメーションへと動いており,カスタムエレクトロニックスの需要はさらに増していく。
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