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DRI テレコムウォッチャー from USA |
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このシリーズは毎月20日に掲載!!
| インターネットの中立性 |
2006年2月25日号
米国議会では通信法の書き換えを検討し始めいるが,Google,Yahoo!,Microsoft,Amazon等の会社はNet Neutrality(インターネットの中立性)を保証する条項を含める事を求めている。インターネット上の「ビット」はどれも同じであり,それがどこから出て,どこに行こうとも平均に扱われるべきであると主張している。これに対して,インターネットのインフラストラクチャーを提供しているVerizon,AT&T,Comcast等の事業者は自分たちが多額の投資を行って作っているおかげで,インターネットでビジネスを行うGoogle,Amazon,Movielink,Vonage等は儲けることが出来ているが,その収入はインフラストラクチャーを提供している電話事業者には入らないことを問題にしている。Verizonは通信法の10年を祝うイベントにおいて,Google等の会社は無料で自分たちの投資を使って儲けていると発言した。
通信事業者は光ファイバーの様な高度のネットワークを普及させるには,Google,Yahoo等の収入が通信事業者にも還元される仕組みを求めている。その方法として,BellSouth,AT&Tはすでにインターネットビジネスに対して回線を優先に使わせる代わりに利用料金を求める交渉を行っている事を明らかにした。BellSouthはMovieLink等5つの会社と交渉中であり,MovielinkにはそのVOD料金の$3から$5の内の10%の支払いを求めている。これにより,MovielinkのデータはBellSouthのネットワーク内では優先的に扱われ,BellSouthのブロードバンド加入者は高速でMovielinkからのダウンロードが出来るようになる。
ブロードバンド以外では通信事業者はそのインフラストラクチャー上でのコマースで収入を得ることが出来る。携帯電話では加入者がダウンロードした着メロ,ゲーム等の収入,あるいはEコマースの収入の一部は通信事業者が得ることが出来る。ケーブルTVでもTVショッピングチャンネルの売上げのコミッションはケーブルTV事業者に支払われ,またVOD等の収入も入る。インターネットではこの様なビジネスモデルが存在しない事で,ユニークな,新しいビジネスが登場出来たとも言えるが,通信事業者はこれらビジネスが潤っているのは自分たちが提供するインフラストラクチャーのおかげであり,その見返りを求めている。
ADSLは電話回線が使われているのでコモンキャリアのサービスとして見なされており,この様に特定の事業者のデータを優先扱いする事はコモンキャリアとして困難であった。しかし,ブランドX訴訟でMSOの提供するケーブルモデムサービスはコモンキャリアとしてのサービスでは無いと判断された。この判断は不平等だと申し立てた電話事業者に対して,FCCはADSLを含めたブロードバンドサービスはコモンキャリアでは無く,情報サービスと定義し直した。これにより,QoSの保証をする代わりに,インターネット事業者からその収入の一部を求める事が可能になった。
Google等は通信事業者に特定のビットを優先的に運ぶことを許すことは,彼らにコンシューマが何をインターネットで得られるのかの判断をゆだねることになり,インターネットの中立性が無くなると反対している。例えば,AT&TはビジネスパートナーであるYahoo!のデータは優先するが,Googleのデータは後回しにする様な事も考えられる。これに対して,BellSouthのCTO,Bill Smithは自分たちが求めている事はGoogleがその検索結果の表示画面に広告を掲載し,収入を得ているのと同じ事であり,Googleの意見は自分のビジネスモデルと矛盾した物だと反論している。
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