DRI テレコムウォッチャー  from USA

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NSI Research社の
「The Compass」 と 「アメリカのデジタル・ブロードバンド放送産業」(年間情報サービス)
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダーを対象としています。


大きく成長するモバイルEメール
2005年12月25日号

 モバイルEメールのデバイスの利用者は世界で700万程度であるが,市場は急成長している。この市場のリーダーはRIM(Research In Motion)で370万がそのBlackBerryを使っている。BlackBerry以外のデバイスとしてはDanger社のHipTop,PalmのTreo等がある。HipTopはDanger社とシャープが共同開発した製品で,T-MobileがSideKickとして販売している。

 PDAの売上げ不振で業績を落としていたPalmもモバイルEメール市場が急成長した事で回復し始めている。Palmの11月20日で終わった四半期は予想を上回る物であった。四半期の売上げは2.6億ドルで,これは前年同期の10倍であったが,この内2.24億ドルは税金上の一時的な収入で,実際の売上げは2440万ドル,シェアあたり,47セントで,アナリストの予測していた43セントを上回った。これにはTreoが大きくと貢献している。Palm社はこの半年で100万台のTreoを売っている。前年期のTreoの販売台数は100万台程度であり,半年で,前年の売上げに達している。

 BlackBerry等のデバイスは最初,エクゼキュティブのツール(玩具?)であったが,その後,保険会社のアカウントレップ等,外勤が多い業務向けのバーティカルなツールになっている。現在のモバイルEメールはその通信にセルラ回線を使っているが,WiFiホットスポットの普及でWiFiベースの製品に対する関心も高まっている。RIMはWiFi 対応のBlackBerryを提供し始めている。同社はモバイルEメールを使うユーザは外勤にとどまらず,病院等を含めてキャンパス内で動き回ることが多い人も今後は対象になっていくと考えている。

 これを携帯電話会社が黙ってみているはずはない。Nokiaはビジネスクラスの携帯電話は全てQWERTYキーボードを搭載したモバイルEメール対応の製品にしていく予定である。価格は発表されていないが,200ドル程度から始まると推測されている。Nokiaは12月に開催されてたInterop展示会で,4年後にはモバイルEメールの利用者が1億人に達することは十分に実現可能だと語った。

 調査会社のThe Radicati GroupもモバイルEメール市場は大きな成長をすると予想している。同社は2008年で3900万の利用者との予想を発表していたが,最近のアップデートでは2009年に1.23億人と大きくと増えた。Nokia,The Radicati Group共に,成長はビジネス分野での利用が主体として予想をしているが,値段が下がればコンシューマ向けにも大きく普及するであろう。

 オンラインで携帯電話を販売しているLet's Talk社が2005年11月に発表した2000人を対象に行った調査では,値段を問わず,携帯電話に最も欲しい機能としてEメールが66%で,カメラ機能の63%を抜いて,一位になっている。3位はウェブアクセスとミュージックプレーヤ機能が同点(47%)で,5位はPDA機能(46%)であった。

 しかし,モバイルEメールデバイスの成長にも陰がある。RIMはパテント侵害でNTP社から訴えられている。RIMは3月の裁判で4.5億ドルの支払いを命じられており,その支払いをパテント局が行っているNTPのパテントに対する調査結果までの延期を求めていたが,却下された。RIMとNTPは和解の交渉を行っている。

 訴訟問題はこれだけでは無い。モバイルEメールソフトウェアを開発しているVisto社はMicrosoftのWindows Mobile 5.0は,会社のファイアウォールの向こうにあるEメールをアクセスする機能は同社のパテントを侵害しているとし,訴訟を起こしている。Visto社はNTPのライセンスを受けており,NTPはVistoに投資を行っている。

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