DRI テレコムウォッチャー  from USA

このシリーズは毎月20日に掲載!!

NSI Research社の
「The Compass」と「アメリカのデジタル・ブロードバンド放送産業」(年間情報サービス)
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダーを対象としています。


米国でも普及し始めるMVNO
2005年8月20日号

 通信設備を持たない事業者が通信設備を借り,携帯電話サービスを提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator)は1990年代後半に欧州で始まった。英国で成功をしたVirgin Mobileは2002年に米国でサービスを開始した。同社は若者向けにプリペイド型のサービスを提供し,サービスを開始して3年で300万の加入者を得た。Virgin Mobileと同じ規模の加入者を持つMNVOとしてTracfoneがある。同社はプリペイド式の携帯電話のパイオニアで1996年にスタートをしているが,普及を始めたのは2000年頃からである。同社の提供する携帯電話の多くはダウンロード機能等の無いシンプルな物であり,$50以下の価格で販売されている。当社はOffice Depot,Staples,Safeway,Western Union,7-Eleven等のチェーンと契約し,全米6万以上の店舗でその電話を販売している。

 Tracfoneの販売を行ってきた7-Elevenは自らプリペイド式の携帯電話サービスに関心を示し,2003年末にテキサス州フォートワースでテストサービスを開始した。このテストは成功し,2004年4月に14の市場で,Cingularのネットワークを使ったSpeak Outと呼ばれるサービスを開始した。現在サービスは全米,3900の7-Eleven店舗で販売されている。販売されている携帯電話はNokiaの 2260と3560でTracfoneの物より高機能であり,$100と$140ドルの価格で販売されている。通話料金は1分20セントとなっている。

 経営コンサルティング会社のDiamondClusterは2005年のMVNO加入者は1200万に達すると推定をしており,さらに2010年には3000万から3500万加入者に達するとの予測をしている。

 強いブランド力を持った会社が,単に携帯電話での収入を狙うのではなく,全体的なブランド力の向上を狙って参入する事で,MVNOは大きくと成長すると予想されている。コンテンツ&メディア大手のDisneyは来年からDisney Mobileと呼ばれるサービスをSprintのネットワークを使い,開始する。Disney Mobileは家庭向けのプランで,子供を含めた家族のメンバー全員を対象とした,電話とサービスを提供する。Disneyの子会社で,ケーブルTV上でスポーツ専門のチャンネルを提供しているESPNは,そのブランド力を使い,スポーツファンを狙ったESPN Mobileと呼ばれる,MVNOサービスを企画している。ESPN Mobileはその利用者にスポーツ速報を提供するだけでなく,ストリーミングビデオによる独自のビデオコンテンツ等も提供される予定である。

 強いブランド力を持った会社としてはApple,それにWal-MartがMVNOのサービスを行うとの噂が出ている。また,ケーブル事業者のTime Warner,Comcast等がケーブルTV,ブロードバンド(ケーブルモデム),固定電話(VoIP)のトリプルプレーサービスに,携帯電話のサービスも加えることを狙っている。Time Warner Cableは現在,Sprintとカンザスシティーでテストサービスを行っている。

 登場しているMVNOはこのような強力なブランド力のある会社だけとは限らない。ニッチな層を狙ったサービスを提供するMVNOとしては,新しい移民層を狙った9278 Mobile,子供に携帯電話を持たせる親向けのCloseCall(MobilePro),ヒスパニック系を狙ったMovidia,ティーン向けにダウンロードサービスを充実させたAmp'd Mobile等がある。

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データリソース社は、「MVNO」関連の下記のレポートをお取り扱いしています。

新興市場におけるMVNOのビジネスモデル(ピラミッドリサーチ社)

Virgin Mobile:世界的MVNOの概要 (インスタット社)




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