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DRI テレコムウォッチャー from USA |
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このシリーズは毎月20日に掲載!!
| DSLとケーブルモデムの戦い |
2005年8月5日号
2000年のブロードバンド市場におけるケーブルモデムのシェアは70%であり,電話事業者の提供するxDSLサービスに大きなリードを持っていた。しかし,そのシェアは徐々に縮まり始め,2004年の末ではxDSLのシェアは40%になった。電話事業の収入が減っている電話事業者はブロードバンドサービスに真剣になっている。シェアを奪うために電話事業者はxDSLサービスの値下げを行っている。数年前は40ドル以上であった料金は料金は大きくと下がっている。SBCは1.5 Mbpsのサービスを20ドルに下げ,さらには15ドルまで値下げをしている。この事でDSLとケーブルモデムの差はさらに縮まり,2005年末にはケーブルモデムは57%,xDSLは43%のシェアになると予想されている。
MSO(ケーブルTV事業者)はこれを傍観している訳ではない。MSOは値下げの戦いにするのではなく,ケーブルモデムの方がxDSLより早いことをアピールし,その速度をさらに増すことで電話事業者に対抗をしている。ケーブルモデムの高速化に熱心なMSOの1社はAdelphiaである。同社はケーブルモデムの提供は他のMSOより遅かったが,そのおかげで機器をDOCSIS 2.0に統一することが出来,高速化を容易にしている。同社は今年の初めに,その全マーケットでそのプレミアム・ハイスピードの速度を4 Mbps(512 Kpbs上り)から6 Mbps/768 Kbpsに上げた。さらに最近では一部の地域で,プレミアム・ハイスピードを15 Mbps/2 Mbpsに上げたサービスの提供を始めている。Cox他の,MSOも15 Mbpsから20 Mbpsの高速サービスを提供し始めている。
しかし,MSOの高速化による電話事業者との戦いも大きな弱点がある。現時点では電話事業者のネットワークは高速なサービスを支える事は出来ず,3 Mbpsのサービスが限度である。しかし,Verizon,SBCとの事業者は光ファイバーを使ったネットワークの構築に積極的になっている。VerizonはFiOSと呼ばれるFTTP(Fiber to the Premise)のネットワークの構築を始めている。同社はテキサス州のケラーにおいてFiOSのサービスを8月から開始している。15 Mbps/2 Mbpsのサービスは月額45ドルで提供されている。Verizonは今年の末までに300万世帯の通過を予定している。SBCはFTTN(Fiber-to-the-Node)によるADSL2+,あるいはVDSL2ベースのサービスを計画しており,2007年までに1800万世帯の通過を予定している。
高速化の戦いでは最新のネットワークを使う,電話事業者の方が有利である。光ファイバーベースのネットワークであれば数百Mbpsのサービスも実現可能であるの対して,DOCSIS 2.0が提供出来るケーブルモデムの速度の上限は30 Mbpsである。MSOの共同研究期間のCableLabsは光ファイバーに対抗するためにチャンネルボンディングの技術をDOCSIS 3.0に採用する。ケーブルモデムの速度の上限は1つのチャンネル(6 MHz)あたり,30 Mbpsである事は変わりないが,DOCSIS 3.0では複数のチャンネルを1つにまとめ,30 Mbpsのバリアを越えることを可能にしている。4つのチャンネルをまとめれば,120 Mbps近い速度が可能になる。DOCSIS 3.0は現在,CableLabsで最終のリビュー期間に入っており,早ければ2006年初めには規格として公開される。
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