先月のMarket Snapshotでは、PCメーカ各社が積極的に参入するホームネットワーキング市場の背景をご説明した。続編の今月は、ホームネットワーキング技術に関連したベンチャー企業のユニークな製品、その利用状況等をご紹介したい。
近年におけるホームネットワーキングへの高い関心は、確かに一般消費者の技術に対する知識の広さと比例するが、専門技師の力を借りずにうまく設置するには、時間的な節約も含め、やはり可能な限り単純な方法が望ましい。ベンダ側にしてみても、設置作業が簡単で機能が明確な製品ほど売りやすいからだ。こうした製品のひとつにDigital Media Receiverというスタンドアロン型の機器がある。既存のホームネットワークを利用してPCをステレオやホームシアター・システムに接続し、デジタルメディアコンテンツを伝送するもので、最近、この分野に特化したベンチャー企業が誕生してきている:
−Cd3o(MP3、安価で高音質のステレオに強い:http://www.cd3o.com)
−Digital Deck(DVR*、家庭内の各種機器に対応する総合的なメディアアクセス技術でやや高めの価格設定:http://www.digitaldeck.com/)
−Prismiq(PC上のファイルをテレビおよびステレオシステムに接続:http://www.prismiq.com)
−Roku(HDTVおよび音楽関連製品が主体:http://www.rokulabs.com/)
−Slim Devices(上記Cd3oの競合製品を展開:http://www.SlimDevices.com)
*ハードディスク内蔵型のテレビ番組録画機 この他にもMicrosoft Windows XP Media Center Edition 2005と稼動するMedia Center Adapter(HPとLinksysが生産)やDVR、無線技術対応のBoombox(ポータブルステレオ)は人気の高い製品に挙げられる。
ホームネットワーキングの活用により、PCデスクから居間や寝室へと移動し始めたデジタルコンテンツは、各種携帯機器(電話、PDA、ノートパソコン等)を通してその行動範囲を屋外にも拡張している。テレビ番組の数・種類共に多い米国の一般家庭ではDVRが活躍しているが、中でもその代表格TiVo(カリフォルニア州Alviso:http://www.tivo.com/0.0.asp)は「TiVoToGo」と呼ばれる新サービスで今年さらに売上を伸ばす方針だ。同サービス(既存のTiVoサービス加入者は携帯機器に専用の無償ソフト(TiVo Desktop)をインストールすることが条件)の機能を利用すれば、ハードディスクに録画したテレビ番組をノートパソコンで視聴できる。つまり、好きな番組や映画を出張先や休暇先で楽しめるというわけだ。一方、新興企業ではOrb Networks(カリフォルニア州Union City:http://www.orbnetworks.com/)が発表したストリーミングメディア向けソフトウエアとサービスも注目されている。同社ソリューションでは、種類を問わずインターネットに接続可能な機器でPC上の音楽やテレビ番組、ビデオ、写真などあらゆるデジタルコンテンツにアクセスできる。今年初めのCESでCNETよりNext Big Thing賞(ソフトウエア&サービス部門)を受賞した製品だ。
来月の第三回では、将来におけるホームネットワーキングの在り方と、同分野に対する投資状況に触れる 。
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