| アップルはニッチから抜け出せるか - コンシューマPCのシェアは若干伸びたが |
2003年7月20日号
1993年のアメリカのPC市場のシェアはIBMが14%,アップル13.9%,Compaq 9.6%であった。その後,10年でPCの市場は大きくと変わった。アップルはWindowsマシンにどんどんとシェアを奪われていく。昨年の夏からアップルはWindowsからマックに移行した人たちを映したテレビ宣伝のキャンペーンを始め,Windowsに対する攻撃を始めた。
このキャンペーンが始まった2002年第3四半期のコンシューマPC分野におけるアップルのシェアは3.5%であり,2003年第2四半期のシェアは3.9%であった。アップルのシェアは1年で0.4%成長し,キャンペーンの効果はあったと言える。しかし,同じ時期にデルはそのシェアをなんと30.1%から36.8%へと伸ばしてた。HP,ゲートウェイ,ソニー等のシェアは下がっており,デルはその勢力を大きくと強めた。このデルの快進撃を見るとアップルの0.4%の成長は色あせてしまう。
米国コンシューマPCのマーケットシェア
ベンダー | 02年3Q | 03年2Q |
デル | 30.1% | 36.8% |
ヒューレットパッカード | 25.3% | 22.5% |
ゲートウェイ | 9.8% | 6.3% |
ソニー | 5.3% | 4.3% |
Eマシーン | 4.9% | 4.3% |
東芝 | 2.7% | 4.1% |
アップル | 3.5% | 3.9% |
その他 | 17.3% | 7.8% |
出典: NPD Techworld
アップルは以前,教育市場では圧倒していた。しかし,Windowsの標準性が高まることで学校もWindowsへと移行している。Quality Education Data社が昨年に行った調査ではマックを使っている学校の率は54%であったのに対いしてWindowsマシンを使っている学校は91%であった。現場ではマックに対する支持が強いが,値段が安いことでWindowsマシンが増えていく。
アップルは差別化を高めるためにアプリケーションの自己開発を高めている。走るアプリケーションがマックでも,Windowsでも同じであれば,ユーザは値段の安いWindowsを買ってしまう。アップルが独特の優れたアプリケーションを開発すれば,Windowsからユーザを奪い事が出来,さらにソフトウェア収入としても貢献する。
しかし,これはサードパーティーのソフトウェア会社と競合するリスキーな戦略でもある。これまでアップルを支持し,多くのグラフィックスソフトウェアを開発し,マックのグラフィックス分野での地位を固める事に貢献してきたアドベは,そのウェブページにマックより,Windowsマシンの方が性能が優れていると書き,さらにはPremier Pro等の新しいバージョンはWindowsオンリーでマックバージョンは開発しないと発表した。このアドベの反アップルの態度は,アップルがアドベに対抗するビデオエディットのソフトウェアを売り始めたからだと考えられる。
最近,マイクロソフトもマック用のインターネットエクスプロラーの開発を止めると発表した。マック支持者達はマイクロソフトはアップルのサファリにかなわないと判断し,これはアップルの勝利であると見る。しかし,マイクロソフトはもうアップル向けにソフトウェアを書いても価値がないと判断したとも受け止められる。
アップルはiPod,iTunes Music Storeでデジタル音楽での地位を築き始めている。これを使い,アップルはPC市場でカムバックをすることが出来る可能性もある。しかし,PC以外の市場に進むすぎることは逆に競合を増やし,よりニッチを追いかけなければならない結果に進む可能性もある。
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