米(ベイ)エリアIT通信


米企業改革法に準拠する技術

2003年5月号

 米国大手企業における会計上の違法行為は、EnronやWorld Comに留まらず産業界全体に広がっている。Enronのビジネスモデルに影響を受けたライバル各社Dynegy、CMS Energy、Mirant、Williamsをはじめ石油事業の大手HalliburtonやHanover Compressorなどでは損益計算書の修正を余儀なくされた。米SEC(Securities and Exchange Commission)の報告によると、刑事告発の対象となった経営幹部者または企業の数は259%、業界から永久追放された役員および取締役の人数は147%、取引停止を命じられた有価証券は450%、さらに資産凍結のケースは47%といずれにおいても増加している。こうした現状の改善策として、さらには株主らの自信回復を目指し、2002年7月、米国では企業改革法(Sarbanes-Oxley Act of 2002)が成立した。全6,000頁にも及ぶ同法案には、経営幹部者の違法行為に対する罰則、監査法人の監視活動、情報開示義務(内部統制および財務に関する報告など)の強化に加え、監査委員会の独立性や社内倫理に関する諸規定が含まれており、今後9ヶ月間で段階的に発効させていく方針である。

 現在、Sarbanes-Oxley法に準拠した会計体制の構築に取り組む米国企業の中には、「人材登用」と「監査の制度」に関して会計体制の強化を求める同法案に不満の色を見せる会社も少なくない。同法案の下、CEOには財務諸表の適正について証明書の提出が義務付けられており、監査人も公開企業会計監督委員会(Public Company Accounting Oversight Board)による定期的な検査を受けるようになる。ところが、企業側では現職の役員に替わって優秀な人材を登用することの困難さや、監査に膨大な時間を費やす点に懸念を感じている。そこで、同法案の諸要件を満たすには、必要書類の文書化と保管作業が重要なポイントになってくる。このため、企業各社のIT管理者らの間では情報収集と報告書作成ツールとして、各種文書管理ソフトウエアに対する需要が高まっている。以下、業界において先導的立場にある各社では、Sarbanes-Oxley法に準拠した独自性のある製品を展開している。

キープレイヤー各社の主力製品とその概略

HandySoft Corp. : 製品名:BizFlow Solution Sarbanes-Oxley法第404項(監査手順)に準拠するよう設計されたBizFlow Workflow Softwareのサブセット。企業の財務状況に深刻な影響を与え得る販売、営業、その他事業に関連した諸問題を監視するよう事前構築されたワークフロー・レイアウトとオンラインフォームを通じて情報収集作業を自動化する。同ソフトウエアは、リアルタイムの監視と特定の業務プロセス・ワークフローからの結果を報告する文書管理システムに統合で。

Logical Apps Inc. 製品名:AppsFlow BPMソフトウエアAppsRulesの改良版と併せ、新たなモジュールとして今月初めに発表された。Oracleエンタープライズ・アプリケーション上に構築されたメタデータ・フレームワークと設定済みのワークフロー・ライブラリを通じて、ワークフローの組立ておよび管理過程を迅速化。

Documentum 製品名:Corporate Governance and Compliance Solution コンテンツおよび文書管理、記録情報管理、コラボレーション向けの既存技術にBearingPoint Inc.と共同開発した6種のテンプレートを追加。これらには内部の統制とその方策、決算手続き、SECへの申請作業など特定のワークフローや文書のライフサイクル用テンプレートも含まれて。

(c) 2003 KANABO Consulting


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